月とスッポン  一生に一度と言わず
間話 side 幼馴染の妻
宇治橋に座り込み、欄干を見入る男性。
かっこいい。

急に立ち上がり「茜!」と呼ばれば、聖域に戻る宇治橋の横の小道から両手を広げた女性が「翔空」お互いに駆け寄った。

それはドラマのワンシーンのようで、どこか他人事のように見えた。

「まま」
と服を引っ張られ、不安そうな我が子の顔をみて我に帰る。
あれは私の男だ。私の人生を賭けて手に入れた男だ。
抱き合っていたのなら、容赦はしない。
覚悟を決め顔を上げる。

手と手を取り合い、上に下にと大きく動かしながら

「「ここで何してるの」しとんの」

とハモったかと思えば、繋いだまま正宮を指し

「「伊勢参り」」

とまたハモる。

それはまるで社交ダンスのよう。

繋いだ手をそのままで
「あれ、俺の嫁」
こちらを指す。
あれだと!

「あれ!嫁!」

驚いた顔でこちらを見たかと思うと、眉間に皺を寄せて険しい顔で翔空を見る。

嫌悪感満載の顔をしているが、気づきもせず、反対側を向いたかと思えば、繋いだ逆の手を後ろの男性にむけたを思えば手を離し、親指を立てる。

「あれ、お前の男?」

茜と呼ばれた女性も同じように親指を立てたかと思えば、後ろの男性をそのまま親指で指し

「あれ、海の兄」

と言えば、今度は翔空が険しい顔をして「はぁ」を声を上げる。

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