月とスッポン  一生に一度と言わず
どう見ても異性同士の感動の再会ではなさそう。

ほっと胸を撫で下ろすと繋いでいた子供の手が離れた。

「ぱぱ」

翔空に向かって走っていく。
座り込んで大きく手を広げ、可愛い我が子を待ち構える。

ベストショット。写真に収めたいが、もう1人抱えた我が子も、真似をしたくて動き出す。
写真を諦めよちよち歩きを補助しながら、翔空の元へと歩き出す。

「海の兄ってなんだ!彩綾さん、再婚したのか!」
「ぱぱって何!いつの間に世帯持ちになってんの!」

「「言えよ」や」

「“俺は全てをここに置いて、0から始める”って言って、連絡先も言わずに行ったのは誰だよ!」
「俺だな」

「そっちこそ、こっちの職場知ってるんだから連絡出来たでしょうが!」
「そんなのいちいち覚えてないわ!」
「お前の事だろ、覚えておけよ」

なんという口の悪さ。
思わず子どもの耳を塞ぐ。

どうやって仲介に入ればいいのか?

2人に指を刺された男性を見てみれば、驚いた顔で2人を見ていたかと思えば、こちらを見て少し困った顔をする。

「やばっ、かっこいい」と思わず声が出る。
「りぃかぁ」

隣から情けない声が聞こえ、翔空に微笑みかける。
うん、私は大丈夫。
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