月とスッポン  一生に一度と言わず
「何か忘れ物ですか?」
「チケットをどこに閉まったかと思って」

鞄を漁りながら答える。

「チケットなら私がお預かりしていますよ」
「はぁ?」

驚きながら立ち上がる私の顔を見て、満足したようで、「では行きましょう」と楽しげに私の荷物を拾い上げ、コーヒーの入った紙袋を手に颯爽と構内へと入っていく。

「《猿田彦大神は天孫降臨の際に、天照大御神に遣わされた邇邇芸命を道案内した国津神なので、道開きの神として崇敬されているそうです。
伊勢の阿邪訶にて溺れた際に命を落とし、後に椿大神社の高山土公神御陵に葬られ、これが猿田彦命の御陵とされていると伝えられています》」

猿田彦神社では大河の講義がなかった。言いたかったけど、ずっと我慢していたのはわかっていた。

「《国津神とは《古事記》《日本書紀》などの日本神話で,高天原の神々に対してこの地上に出現した神々,ならびに天津神の後裔で,地上に土着して活躍する神々,また,国土の各地方の有力な神々です。

1番名が知れているのはもちろん、出雲に大国をつくった国づくりの神で出雲大社に祀られている大国主ですね。

それから
福島県の大山祇神社や静岡県の三島大社で祀られている大山祇命は、山岳丘陵の守護神であり、山の樹木が雨水を涵養することから水源・水利の神。

その娘で日本神話で最も美しいと誉高い木花咲耶姫は富士山本宮浅間大社祀られています。その美しさからから桜の語源とされ、かぐや姫のモデルとも言われている神です。

国津神の観念は,天津神と同様に複雑で,一概には断定しがたく,幕末維新期の国学者の矢野玄道は,天神に対するもの,天神に先立って国土のある地方をつかさどるもの,産土神を指すもの,海中の神を指すもの,の4種に分けています》」

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