月とスッポン 一生に一度と言わず
いまだ首を傾げたままの大河に、
「会話に関しては、客同士の潤滑油程度にしか思ってませんよ。あとはどんな事を言われても、自己否定はしても相手の事は全部肯定する事ぐらいは気をつけてますけど」
と付け加えていく。
「大事なのは感謝と労いだという事ですか?」
私のわかりにくい会話から見つけ出した結論を大河が簡潔にまとめる。
どこを聞いてその結論が出るのかは疑問だが、頭のいい人間には頭のいい答えが結びつくのだろう。
「悪意ある嘘はダメですけど、事実に基づく話しを盛ったり作ったりはしますよ。
所詮、食べに来た時だけ、働いている時だけの関わりですから」
その場が良ければいいんですよ。
感心した様子でなんだか大袈裟にしている大河に、気恥ずかしくなり言い訳を並べる。
私はそんなにすごい人間だはない。
「頭も見た目も悪くて、経験も少ない年下の女が、何言ったって誰も従いませんよ。だったら、動くように促した方が効率的ですし」
「そんな事はありません」と即座に否定してくれる大河に笑みが溢れた。
少しだけ私がしてきた事が報われた気がした。
私が歩んでいる道が間違えではないと。
「感謝と労い」
呪文のように呟く大河を横目に、貰った飲み物を口にしながら、比叡山周辺の地図アプリに視線を落とす。
コメントに目を通していく。
「そんなことよりも比叡山には御朱印が20近くあるらしいですよ」
「会話に関しては、客同士の潤滑油程度にしか思ってませんよ。あとはどんな事を言われても、自己否定はしても相手の事は全部肯定する事ぐらいは気をつけてますけど」
と付け加えていく。
「大事なのは感謝と労いだという事ですか?」
私のわかりにくい会話から見つけ出した結論を大河が簡潔にまとめる。
どこを聞いてその結論が出るのかは疑問だが、頭のいい人間には頭のいい答えが結びつくのだろう。
「悪意ある嘘はダメですけど、事実に基づく話しを盛ったり作ったりはしますよ。
所詮、食べに来た時だけ、働いている時だけの関わりですから」
その場が良ければいいんですよ。
感心した様子でなんだか大袈裟にしている大河に、気恥ずかしくなり言い訳を並べる。
私はそんなにすごい人間だはない。
「頭も見た目も悪くて、経験も少ない年下の女が、何言ったって誰も従いませんよ。だったら、動くように促した方が効率的ですし」
「そんな事はありません」と即座に否定してくれる大河に笑みが溢れた。
少しだけ私がしてきた事が報われた気がした。
私が歩んでいる道が間違えではないと。
「感謝と労い」
呪文のように呟く大河を横目に、貰った飲み物を口にしながら、比叡山周辺の地図アプリに視線を落とす。
コメントに目を通していく。
「そんなことよりも比叡山には御朱印が20近くあるらしいですよ」