「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「えっと、ヤキモチって、焼いていました?」

 ぐっと気持ちを押し込んで、軽い話題の方を選ぶ。子どもに関して衝撃的すぎただけで、こっちももちろん気になる。

「がっつり嫉妬してたじゃん! 美月ちゃんから離そうとして俺の腕を掴んだでしょ? 力が強くて、腕が折れそうだったよ」

 もちろん嫉妬が事実なら叫びたくなるほど嬉しい。しかしどうしても、もう一点の方が気にかかって心が素直に反応しない。

「美月ちゃんを大事にしているし、そんな早戸を見られて俺は大満足だった。ありがとうね」

「こちらこそ、ありがとうございます」

 反射的に返したが、なにに対してありがとうなのか。頭がまったく働いていない。

「うわ、電話だ。さっさと帰ってこいって催促だよ」

「引き留めてすみませんでした」

「気を付けて帰ってね。じゃあまた」

 慌ただしく去って行った矢沢さんの姿が視界から消えても、足に根が生えたようにその場から動けなかった。

 巧さんは子どもについてどうしようと考えているのか。

 婚前契約書には、行為に関することや、子どもを希望するかどうかについて記載していない。
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