「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「巧さん、よく私に気づきましたね」

「矢沢から連絡を貰っていたんだ。通り道だから、会えるかもよって」

「矢沢さん、ありがとうございます……!」

 顔の前で両手を合わせて拝んだ。

 陽平と遭遇した時は運の悪さを呪いそうになったけれど、矢沢さんと会って、巧さんが騒ぎになる前に駆け付けてくれたのも運だ。

「矢沢が美月といろいろな話をしたと自慢してきたけど、大丈夫だったか? あいつ話し出すと止まらない時があるんだよな」

 子どもが苦手という話を思い出して返事に窮する。

「……巧さんが結婚してよかったと、安堵していました」

「へえ」と呟いた巧さんの横顔は心なしか嬉しそうだ。

 巧さん自身は、『美月の次に、俺について知っているはず』と言っていたけれど、そうじゃない。

 ひとりで悩んでモヤモヤするくらいなら、さっさと聞けばいいのは頭では分かっている。

 でもまだ、本心を聞いて受け入れる覚悟が決まらない。だって私の本音は、赤ちゃんを産んでお母さんになりたいんだもの。
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