「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「行こう、美月。時間の無駄だ」

 ここでもまた時間をかけずスパッと判断した巧さんは、私の手を引いて車へ向かう。

 そうか、五分を超えると違反になる。

 警視正である巧さんが路上駐車をするリスクは、私が想像するより遥かに高いはずだ。

 それなのに来てくれたんだよね。優しいし、頼りになる。

 助手席に乗り込んでシートベルトをすると車はすぐに発進した。窓から後ろを振り返ると陽平の姿はもうどこにもない。

 よかった……。会社にいられなくなるとまで言われたらさすがにこれ以上関わってこないよね。私と巧さんの関係もある程度想像はしただろうし。

「助けてくれてありがとうございます」

「どうしてあの状況に?」

「後ろから声を掛けられたんです。会社から一番近い店舗なので、たぶん買い物をしようとしていたのかと。私は鏡とポスターを買いました」

 なるほど、と納得して、深く追求しない辺りが好きだ。ふたりで待ち合わせしていたのではないかと、疑われてもおかしくない状況だったから。
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