「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「そんなの全然いいよ。私は自分が一緒にいたいと思う人と、いられればいいの」

 目の奥が熱くなって涙が溢れそうになり、唇を噛んでとにかく堪える。

 もうすぐ始業時刻だ。ここで泣いたら、よからぬ噂話や好奇の眼差しを助長させる。

「ふたりが社内恋愛していたのは私しか知らないし、内村さんと大塚さんが交際して結婚していたのもみんな知らなかったよね。この辺りをきちんと説明して、誤解を解けば大丈夫。頑張ろう、美月」

 腰を屈めて私の顔を覗き込んだ麻美の優しさに、耐え切れなかった涙の粒がぽろっと落ちた。

 でも、これ以上は泣かない。自分の居場所は自分で守らなくちゃ。

「ありがとう麻美。頑張るね」

 洟をすすって、大きく深呼吸をした。

「そろそろ行かないと」

 麻美の慌てた声でふたりとも小走りで商品本部のフロアへ向かった。

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