「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
会議室への呼び出しがあったのは、朝の慌ただしさが落ち着いた十時過ぎだった。
生活雑貨部の部長に「飛島さん、ちょっといいかな」と声を掛けられ、ふたりでフロアを出る。社員たちから矢を射るような無遠慮の視線を注がれて、さすがに心を強く保てなくて背中が丸まってしまった。
会議室には人事部長、バラエティ雑貨部の部長が席に座って待っていた。目上の立場である男性三人に囲まれて緊張が極限に達し、膝が微かに震える。
「お待たせしました」
生活雑貨部の部長が頭を下げたタイミングで私も深々とお辞儀をした。
大丈夫、落ち着こう。取りこぼしはしないように、きちんと伝えればいいのだ。
「急に来てもらって申し訳ないね」
人事部長は意外にも柔和な態度で、他ふたりの表情も特段変わった様子は見受けられない。
拍子抜けしつつ促されるまま椅子に腰を下ろした。正面に座る人事部長は表情を緩めてから切り出す。
「誤解があったらごめんね。ただ本当のことを知りたいだけだから、質問させてね。内村双葉さんから、飛島美月さんと大塚陽平くんが不倫関係にあると相談を受けたんだけど、心当たりはありますか?」
単刀直入に尋ねられ、会議室に移動するまでに脳内で整理しておいた話を順序だてて説明をする。三人とも、うんうん、と首を縦に振って私の話を丁寧に聞いてくれた。
この落ち着いた雰囲気にはどういう意図が含まれているのかと、疑心暗鬼になってしまう。