結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

おそらくこちらが本性です


 翌朝、かすかな陽の光で目が覚めた。
 しばらくぼんやりしたあと、真っ白な枕とシーツに、ここは旅先なのだと思い出した。エアコンが効いているせいか、喉が渇いている。
 吐息を感じて隣を見たら、八木沢さんが眠っていた。全裸で、無防備に。
 悲鳴を上げそうになって息を飲んだら、軽く咳込んでしまった。
 記憶違いでも夢でもない。彼の肩に残る爪痕が生々しくて、昨夜の熱を思い出す。きっと腕や背中にも、同じように私のつけた痕が残っていると思う。

(ああ、喉がカラカラなのは、喘ぎすぎたからだ……)

 自分も何も身につけていないことに気づき、「服を着なくちゃ」と上半身を起こす。すると、八木沢さんがゆっくり目を開いた。
 眠そうにぼんやりしていて、ちょっと可愛い。

「起こしてごめんなさい。おはようございます」
「ああ、すみません。寝すぎました……?」
「いえ、まだ六時前です」
「……そう」

 現状を確認するかのように、ベッドサイドの時計を見て、それから隣にいる私を見て、八木沢さんが少し驚いた顔をした。
 さすがに驚くよね。私も驚いたもん、この状況。
 彼は横になったまま、腕をあげて髪をかきあげる。やっぱり腕にも爪痕がある。それをじっと見て、彼が呟くように言った。

「……昨夜のこと、覚えてますか?」

 私は即答できなかった。途中からぼんやりしていたけど、ちゃんと覚えている。
 どれだけ自分が乱れたか、どれほど彼が淫らだったか。

「よ、酔っていたので、覚えてません!」

 私がそう答えたら、八木沢さんが意地悪そうに笑った。一緒にディナーに行ったのだから、私が飲んだのは乾杯のスパークリングワインと、グラスワイン一杯だけだと知っている。

「嘘つき」
「ごめんなさい。嘘つきました。覚えています。全部……」

 素直に謝ったのが面白いのか、彼は前髪をくしゃくしゃにしながら楽しそうに笑った。その笑顔を見て、愛おしいと思ってしまった。

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