結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
「なぜそんなことを聞くんです? 僕にとってあなたはとびきり可愛いですよ。怒っても可愛い。歩いてるだけで可愛い。ああ、お料理を盛り付けるときは真剣で、うまく出来たら花が咲いたように笑うのも可愛いです」
「……そうなんですか?」
「そんなふうに素直なところが可愛くて好きです。それから、年代問わず、すぐに友人関係を作れるのもあなたの美点だと思っています」
それは、私の子供っぽい部分と紙一重なのでは。そう思って服を整えながら見上げたら、八木沢さんはいつものように穏やかに笑っていた。
「でもあなたはまだ若いから、僕なんかよりもっとふさわしい人がいるだろう。そう思って触れるのを我慢してたんですが……」
「私のほうが我慢できませんでしたね」
一線を越えない選択肢もあったのに、踏み込んだのは私だ。
優しく抱きしめられて、意味もなく感じていた不安が小さくなった気がした。
「じゃあ、次は僕が質問します。仕事中、あなたがどんなふうに僕のことを思い出してたのか、これから実地で教えてください」
「はい……?」
「恥ずかしがらなくていいですよ。ここと違って十五階なら、どれだけ乱れても外には聞こえません」
そんな嬉しそうに言われても困る。でも今さら逃げられそうにもないので、明日また仕事に集中できないんだろうなと諦めた。