結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
また深くキスされて足を閉じたくなったけれど、身動きできなかった。心臓が高鳴って体が熱くなる。服の上からでもわかるくらいお互いの体温があがっていた。
「一人残されて、そんなに寂しかった?」
「一人に、慣れていたつもりでしたが、八木沢さんが側にいないのは寂しいです」
「ああ、それは……僕も同じかもしれません」
薄明かりの中、鋭かった彼の視線が和らいだ。
こんなに柔らかく、優しく笑ってくれるの、見たことない。
「長く一人でいて、それでいいと思っていたのに。淡々とした日常も悪くないと思っていたのに、毎朝あなたに会えるのが嬉しいです。仕事で疲れて、ただ寝るだけだった家に帰るのも楽しくなりました。あなたがここにいるから」
「私がいるから……」
私はずっと、どこにも居場所がないような気がしていた。見つけたと思った場所も他の人に奪われた。だから、ここにいていいのだと、そう思えることが嬉しかった。胸が温かい気がする。お腹がぽかぽかする。
「八木沢さんに会えて良かったです」
笑いながら呟いて、それからすぐに恥ずかしくなって、照れ隠しに私からキスをした。