結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
会議当日、福岡支社長がわざわざ真臣を呼び出して、結婚のお祝いをしたと聞いて驚いた。福岡支社長は結婚式にも参列していたそうなので、よっぽど真臣を可愛がっているのだろう。彼は人当たりはいいし、目上には絶対に逆らわないタイプなので、福岡でもうまく立ち回っていたに違いない。
色々思い出して憂鬱だなと思っていたその日の夕刻、突然、真臣が私のデスクにやってきて、一万円札を数枚、叩きつけるように置いた。
「な……に?」
「これで終わりでいい?」
封筒に入れることもなく、現金をそのまま置かれて呆然とした。
触るのも嫌だったが、これが違約金なら確かめないと。そう思って数えたら全然足りていない。わざとなのか、お金がないのか、考えるのも面倒だった。
「足りてないよ」
「細かいな、本当に」
「細かいというか、当たり前のことだよ」
私が呆れながらそう言うと、真臣は私の上司に向かって「お金貸してもらえませんか?」と聞いた。上司は呆気にとられた顔で、真臣と私を交互に見ていた。勿論断っていたが、他の社員さんにまで聞いて回ろうとしていたので、やめてと強く止めた。
もう違約金については諦めていたし、こんな形で返して欲しくない。
「いらない! お金はいらないから、もうやめて!」
「お前が言いふらしたんだろ? 恥かかせやがって!」
「なんのこと?」
わからない。全然わけがわからない。でも、藤原さんは心当たりがあるようで、慌てて真臣の上司を呼んでいた。懇談会もあるので、真臣は外へ連れ出されていたが、私は業務後に残って、上司から説明を求められることになってしまった。