結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 ファミレスでの話し合い以降、私からは一切関わってなかったし、真臣は視線すら合わせようとしなかった。だから、どうして真臣があんな態度なのか本当にわからないので、正直にそう言ったら藤原さんが助けに来てくれた。

 社内で「私への慰謝料が未払いになっている」という噂が流れていたらしい。根も葉もない……と言いたいところだが、お金に関してゴタゴタしているのは事実なので、仕方なくマンションの違約金について説明した。

「……それ、柴田が悪い、よな?」

 上司がうんざりした表情で呟き、藤原さんが大きく頷く。情報通の彼女が味方してくれることが正直ありがたい。
 真臣が新婚旅行のお土産を手渡した際に、噂を聞いていた支社長から、「女とは上手に別れないと出世できないぞ」と揶揄されたらしく、面目を失った彼が苛ついたのでは、というのが藤原さんの予測だった。

「私も現金で彼に手渡しましたし、書面等は残していなかったので……こうだと言い切れる物証は出せません。すみません……」
「はあ、事情は分かった。戸樫さんはもう帰っていいから」
「申し訳ありません」


< 144 / 264 >

この作品をシェア

pagetop