結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
どう説明しようかと言い淀んでいたら、彼女の顔が急に輝いた。
「東梧!」
喜びに満ちた声で彼女が叫ぶ。私の横を颯爽と通り抜けていく。
振り返って、視界に飛び込んで来たのは、彼女が八木沢さんに抱きつく瞬間だった。
黒髪が、陽光を弾いて踊っているみたいだ。
「会いたかった!」
「雅姫……?」
八木沢さんが戸惑っている。でも、彼女と顔を合わせた瞬間、彼は笑った。
間違いなく笑った。すぐに目をそらしたけれど、脳裏に焼き付いてしまった。
再会できてよかった。会いたかったよね。
見たくない。私はもう、見ていられない。
路上に駐めてある彼の車は、エンジンがかかったままだったから、道路にいた桂先生を見つけて車をおりてきたのだろう。
黙って自分の部屋に逃げようとしたら、背後から「和咲さん」と、八木沢さんが私に呼びかける声がした。振り返りたくないから、彼らに背を向けたまま立ち止まる。