結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

「あなたにずっと言いたかったことがあります。いつかあなたも、僕を捨てて別の誰かを選ぶんじゃないかと思うと、臆病になって一度も面と向かって言えなかったこと。聞いてくれますか?」

 まっすぐに見つめられると胸が騒いで落ち着かない。今みたいな八木沢さんの表情を、私は何度も見たことがある。これ以上ないくらいの深く近い距離で。
 私が小さく頷くと、彼は微かに笑って深呼吸した。ゆっくりと確かめるように彼が告げた。

「誰よりもあなたを愛してる」

 誰よりも。
 その言葉の意味を理解したら、今まで聞こえていた雑音が全て消え去って、八木沢さんの声しか聞こえなくなった。私に届くのは、彼の言葉だけ。

「僕が好きなのはあなただけ。僕はずっとあなたに恋をしています。こんなおじさんが恋なんて言うのはおかしいかもしれませんが、あなたが好きで、あなたのことばかり考えて、あなたが幸せであるように願っています」

 現実味がなくて、何も言えないままに見つめ返していたら、八木沢さんが優しく笑って不意に口づけてきた。惚けた私が抵抗しなかったから、今度は深くキスされてしまい、恥ずかしくてますます何も言えなくなった。

「愛してる。言葉や態度で表しても、まだ不安ですか?」

 八木沢さんはずっと私を大切にしてくれた。他の人を見ることなんて一度もなかった。それは、雅姫さんが会いに来ても変わらなかった。



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