結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 菩提寺のある場所は寺院の多い地域なので、平日の昼間でも人が少なく、墓地はさらに静かだった。
 両親は祖父母と一緒の墓、つまり母方の大場家の墓に入っている。祖父母は父も一緒に納骨するのを嫌がったそうだが、父には身寄りがなく無縁になってしまうから仕方なく引き受けたらしい。

 移動の車内で、自分の両親について知っていることを全部話した。事故の前後は、私も混乱していたようで記憶が抜け落ちているから、私は両親との思い出がほとんどない。でも、雅姫さんは勝手に調べたみたいだし、八木沢さんには自分の口から伝えたかった。

 母は役者になる夢を反対されて、家を飛び出したらしい。父の家に転がり込んでいたところを一度は連れ戻されたが、その頃、母はすでに私を妊娠しており、再び家出して、駆け落ち同然で結婚したと聞いている。
 だから祖父母は、お通夜で「私たちから永遠に娘を奪った。許せない」と私の父に憎しみを向けていた。
 祖父母にとって、大切な一人娘を亡くしたのだから当たり前だろう。なかなか子宝に恵まれず、やっと出来た娘だったそうだからなおさら。

 引き取られてしばらくは、家の空気も重苦しく居場所がなくて辛かった。
 私を妊娠していなければ、母は別の人と結婚していたかもしれない。そうしたら、死なずにすんだのかもしれない。だから、私に対する感情も複雑だったのは当然だと思う。


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