結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
墓前に花を供えて手を合わせている八木沢さんを見ていると、不思議な気持ちになった。この人はいつも、私が負い目に感じていることを、何でもないことのように受け入れてくれる。
「……本気で許せなかったら、同じお墓に入れないと思いますよ」
彼がそう呟いた。
祖父は無口で不器用だったけど、たまに「和咲は笑った顔がお母さんにそっくりだ」と言っていたのを思い出した。
祖母は料理上手で色んなことを教えてくれた。一緒にテレビで時代劇を見るのが好きだった。
実の両親よりも、育ての親である祖父母と過ごした時間のほうが長い。色々思い出して胸が苦しくなって、「そうだったらいいなと思います。ありがとうございます」と返すのが精一杯だった。
八木沢さんが両親の写真を見たいと言ったので、帰宅後に101号室のクローゼットからアルバムを引っ張り出した。
当時、引越しの荷作りも急だったし、父に関するものは祖父の手によってほとんど捨てられてしまった。でも、教科書などと一緒に並べていた小さなアルバムだけは無事だった。小学校で「自分が生まれたときのことを調べる」という授業があったので、そのために自分で作ったアルバムだ。