結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

何度でも確かめて


 リビングのソファは大きいから窮屈じゃないし、ここでするのも初めてじゃない。けれど、土曜の夜と違って八木沢さんはスーツを着たままだから、私だけ脱がされていくのが余計に恥ずかしかった。

 私を見下ろす彼の濃紺のネクタイが肌に触れる。ネクタイよりも、もっと黒に近いネイビーのスーツは、ダークカラーを好む八木沢さんがよく着ているものだ。上品な艶があって、穏やかな大人の男性である彼によく似合っている。
 でもいまは、纏う空気が普段と全然違う。
 視線が鋭くて捕食されそう……そう思って見つめ返していたら、彼は笑いながら私の背中に手を回して、器用に下着の留め具を外した。

「あっ、あの……ここは、明るくて恥ずかしいです」

 そう言ったのに、彼は反論を許さないかのように私の口をキスで塞いだ。吐息が甘ったるい声になっていく。

「寝室に……」
「待てないです」

 そう言った彼は、キスを続けながら内腿に触れた。くすぐったさと恥ずかしさで思わず体を引いたけれど、ソファの上では自由に動くこともできない。なされるがままで、足も腰も痺れそうになる。


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