結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

小話 槙木課長と吉田係長

 幕間3 槙木くんが、後輩としゃべってるだけのお話
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 残業かったるい。
 通常国会が開催中で、しかも年度末が近いのだから、この状況を覚悟はしていたが一分一秒でも早く家に帰りたい。可愛い妻と娘に癒やされたい。
 娘が目覚める前に出勤して、娘が寝たあとで帰宅していると、家族との会話が激減する。妻が娘と一緒に眠ってしまった日は、本当に会話が皆無になる。
 部長が打ち合わせで席を外した。今日中にチェックすべきものは全部確認したし、トラブルさえ起こらなければそろそろ頃合い。頭の中で逃げ出す算段をしていたら、係長の吉田から声を掛けられた。

「槙木課長、ちょっと相談したいことがあるんですけど、時間あります?」
「あるわけないだろ! だが、他ならぬ吉田くんの話なら、聞かないこともない」
「あざっす!」

 吉田は明るくてノリがいい。官舎が同じで、奥さん同士の仲が良いこともあって、家族ぐるみで付き合いがある。
 帰り支度をしてから、自販機でコーヒーをおごることにした。

「相談ってなに?」
「八木沢課長、結婚するって本当ですか?」
「あーうん。『する』ってか、『結婚した』よ」
「えっ? まじですか? 電撃ですね!」

 予想外だったのか、吉田はそう叫んで目を丸くしていた。元々童顔だから、余計に若く見える。


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