結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 東梧と和咲ちゃんは、昨夜二人で区役所の時間外受付へ婚姻届を提出した。不備はなかったようなので、昨日が「結婚記念日」になる。
 電撃か。言われてみれば、確かに婚約期間がない。別れ話になって、それを引きとめてプロポーズして、その日のうちに婚姻届を出していたから……

「うん、確かに電撃(ブリッツクリーク)だな。相談って八木沢のこと?」
「はい。僕の部下に、八木沢課長の熱烈なファンがいるんですよ」
「へー」

 相談内容が仕事のことではなかったので若干気が抜けた。味の薄いカフェオレを飲みながら、退勤処理してきてよかったなと思った。相談とやらが終わったら、このまま帰ってしまおう。

「頑なにお見合いを断り続けていた八木沢課長に彼女ができたと知って、『独身主義を返上するなら自分にもワンチャン可能性あるのでは?』と思ってたみたいで……」
「で?」
「横取りしよう、と話してるのを聞いてしまって」
「こっわ! 怖い怖い、なにそれ。うっわ、意味わかんね」

 急に物騒な話になったので、紙コップからカフェオレをこぼしそうになってしまった。
 吉田の部下なら、まだ若いだろう。それこそ、和咲ちゃんと同じ歳くらいかもしれない。不惑のオッサンが、二十代の女の子に迫られたら……俺なら浮かれてしまうかもしれない。


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