結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
東梧は自分で「モテない」と言っているが、実はモテる。「結婚しない」と公言していたから表立ってアプローチできなかっただけで、未婚の女性職員からは「理想の結婚相手」として虎視眈々と狙われていた。
落ち着いているからだろう。実際、物腰も穏やかだし、見た目も悪くない。本人に欲がないようで、出世コースど真ん中というわけではないが、同期の中でも昇進は早い。世間から「エリート」と呼ばれる部類の中でも、あいつは選りすぐりだと思う。
「怖いですよねえ。余計な波風立てないでくれよーと思って。槙木課長なら、八木沢課長のことなんでも知ってるから、相談したくて」
「なんでもは知らん」
現に、桂雅姫が帰国して二人に接触していたことを、俺は知らなかった。
「もうご結婚されたのなら、むしろ良かった」
「うんうん、良かった良かった」
「前の奥様と死別したって聞いてましたけど、良い相手に巡り逢ったんですねえ」
それを聞いて、今度はカフェオレを吹き出しそうになった。
あの女は三回くらい車にはねられたって死なないタイプだと思う。