結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 結婚式準備の際、親類が多いと言っていたけれどそれも頷ける。「ゲストが多い」「口うるさい親戚が多い」「親類のほとんどが隣県から都心部に出てくるので、交通の便がよい所がいい」という条件があったので、話し合って無難なホテルウェディングを選択した。

 勝手に、「結婚式は半年から一年後くらいかな?」と思っていたら、トントン拍子に話が進み、挙式披露宴は三か月後に決定した。ハイシーズンではなく、かつ午前の早い時間であればバンケットルームが空いていたのだ。準備のスケジュールはかなりタイトになるが、私としてもひとつ懸念があったので早いほうがいいと思い、諸手を挙げて賛成したのだった。

 舗装された道の行き止まりには、数台の高級車が駐まっていた。
 空いたスペースに駐車してエンジンを切ると、東梧さんが呟くように言った。

「兄と姉も来てますね……車がある」
「えっ、お義母様だけじゃないんです? 手土産がひとつしかないのですが……」
「それは気にしないでください。呼んでないのに勝手に来たんですから」

 私に親戚がいないから、これはもう親族全員集合の顔合わせみたいなものだ。そう思うと、ますます緊張してきた。


< 241 / 264 >

この作品をシェア

pagetop