結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

「和咲さん、緊張してます?」
「しますよ!」
「結婚から三週間も空くから、どうしたのかと思ってましたが、全員の都合をあわせるためだったようですね。僕も実家は久しぶりなので緊張してきました」

 彼はそう言って笑っていたが、緊張しているようには見えなかった。
 むしろ楽しそうというか、わくわくしているような雰囲気すらある。
 実家に帰るたびに結婚の話題を出されることにうんざりして、最近はあまり寄りついてなかったらしい。だから、私を連れて堂々と帰省できるのが、嬉しいのかもしれない。

 整備された歩道から見える庭は一面の芝生。冬枯れの葉の隙間から、ちらほらと緑が見えているので、きっと新芽が出ているのだろう。公園といわれても違和感がないほど広い。
 これからご挨拶に行く義母は、自分の実家敷地内に家を建ててもらった箱入り娘だそうだ。つまりここは、東梧さんの母方の実家でもある。
 しばらく歩くと、庭木の向こう側に二階建てのレトロな雰囲気の洋館が見えてきた。
 ……貴族か?


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