結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 和咲さんが「子どもはいっぱいほしい!」などと可愛いことを言うから、彼女の願いを叶えたくて、こっそりと妊娠・育児に関する書籍を読みあさってきた。槙木から聞いた程度の知識でやっていけるはずがないと思ったからだ。 
 だが、いざ直面すると何もかもすっぽ抜けて、とにかく彼女を守らなければということしか頭になかった。

 夜とは思えないほどに眩しい新宿駅前。
 ドラッグストア店内には、深夜帯にも関わらず客が多く、外国人も目立つ。
 慣れないので、どこに何があるのかもわからず、スマホで検索した画像をたよりに目当てのものを探した。
 しかし、広くてわからない。ウロウロと何周も歩き回っていたら、「ねえ、おじさん」と声を掛けられた。不審者だと思われたのだろうか。
 声のほうへ振り向くと、派手なメイクにミニスカートの若い女性が立っていた。まだ十四、五歳に見える。補導したほうがいいのでは。

「あのさ。おじさん、チハルのパパでしょ? さっきからずっと何探してんの?」
「……ぱぱ……?」

 パパ、お父さん、父親。
 一瞬、思考がショートしかけた。
 その少女は、僕の手元にあるスマホを指さして言った。

「探してるのって妊娠検査薬? もしかしてチハル、妊娠した?」
「……いや……妻の……」
「お、チハルに弟か妹できんの? 娘が家出してるってのに、やることヤってんだね、おじさんも」

 盛大に誤解したまま話をしているが、「棚あっちだよ」と教えてくれたのでついて行くことにした。

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