結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
帰宅すると、和咲さんは眠っていた。
寂しい思いをさせたのでは、と心配になる。
こんな時に一人にするべきではなかったのでは? 明日でもよかったのでは? 早く知りたいというのは、自分のエゴだったのでは?
そう自戒していると、物音で起きたのか彼女が目を覚ました。
「あ、すごく眠くて……寝ちゃってました。おかえりなさい」
眠いせいか、いつもより声が柔らかい。優しく笑う彼女が美しくて、思わず跪きそうになる。
僕が買ってきたものを見て、和咲さんが緊張した表情になった。
「やっぱり東梧さんはわかっていたんですね。じゃあ、ちょっと検査してきますから。期待しないで待っててください」
その声が少し震えていて、彼女も不安なのだと悟った。
待つ。
二人とも無言だったから、自分の呼吸音がやけに大きく感じられた。
日常生活の中では「一分」なんて一瞬なのに、今だけはおそろしく長い一分間だった。
和咲さんは、あえて検査薬を伏せていた。それをそろりと表に向ける。
判定窓に、くっきりと二本の線が出ていた。
「……ねえ、東梧さん見えますか? これって陽性ですよね!」
「和咲、ありがとう!」
夜の室内なのに、陽の光が差しこんだのかと思った。
それくらい、涙ぐむ和咲の顔が鮮明に見える。
思わず笑って抱き締めた。
子ども! 僕たちの子ども!
だが、力一杯抱き締めたあとで、急に不安になった。彼女の体を守らねば。
「すみません。お腹は痛くないですか? 強く抱き締めてしまった」
「全然平気です。まだ小さいですから大丈夫ですよ」