結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
「パパのお友達だから、ヤギさんみたいにおじさんだと思ってた! 綺麗なお姉さん!」
「戸樫和咲といいます。本日はお招きありがとうございます」
彼女に向かってお礼を言うと、槙木さんが「うんうん、くつろいでね」と答えたので、八木沢さんが「自分ちのように言うな」とツッコミを入れていた。仲良しだな。
奥様とは初対面なのに、私がどうしてお二人と知り合って、どうして引っ越したのか、一切質問されなかった。その配慮がとてもありがたかった。
飲みながらお料理の話をしたり、近所のお店について聞いたり、他愛ない会話が心地いい。
槙木さんの娘さん――綾ちゃん――が、「かずさちゃんと遊ぶ! ゲームしたい!」と言うので、一緒にやらせてもらうことにした。
某国民的ゲームキャラクターがカーレースするもので、ゲーム自体に全く触れてこなかった私は、ルールやキャラクター選びの操作から教えてもらった。
全然やったことがないのが珍しいのか、槙木さんに質問された。
「和咲ちゃん、ゲーム禁止の家だったの?」
「あー……はい。うちに一切ありませんでした」
「厳しい!」
ゲーム機がなかったのは本当だが、別に禁止だったわけではない。買うお金も、遊ぶ時間もなかっただけ。でも、それをうまく説明するのが難しそうだったので、少し誤魔化した。八木沢さんには、ばれていそうな気もするけど。
操作は簡単なので、だんだん慣れてくると夢中になってはしゃいでしまった。
「わあ、初めて一着になったー!」
「かずさちゃん、すごいね!」
「綾ちゃんの教え方が上手だからだよ。ありがとう」
「弟子だからね!」
またやろうねと約束したので、後日、大人全員を巻き込んだ○リカー大会が開かれることになる。