結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

「ええー、ありえないです」
「ああ、和咲ちゃんはやっぱりこんなおっさんは嫌かあ」
「私は嫌じゃないですが、八木沢さんが嫌だと思いますよ。こんな災難続きの女」

 真臣と別れたあと、弱みにつけこみたいのか、色々な人からアプローチされた。それも含めてうんざりしていた。誰かと付き合うなんて考えていない。

「僕も嫌じゃないですよ」
「は?」

 八木沢さんが槙木さんをたしなめてくれるだろうと思っていたのに、なぜか納得した顔で頷いている。花園神社の鳥居の前で、なんの話をしているんだろう、私たち。

「でも、私も八木沢さんも独身がいいんです!」
「べつにいいじゃん。むしろ価値観合うじゃん。結婚しなくても、恋人はいていいでしょ」

 八木沢さんが私を見つめて名前を呼んだ。はいっと返事をしたら、淡々と言われた。

「試しに付き合ってみますか?」
「……はい」

 買い物でも行きますか? みたいな口調で言うから、重苦しく考えることじゃないのかと、思わず素直に返事をしてしまった。
 槙木さんが「おめでとうございます」と拍手をしながら、大げさに何度も頷いていた。


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