結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

「料理が下手だと言って、私が作っても食べてくれないんです。だから、戸樫さんがお料理上手だと聞いて……それで……」
「体調も万全ではなさそうですし、家事はゆっくりでいいと思いますよ」
「でも……」

 そんなろくでもない男は捨てたほうがいいと思ったが、彼女は彼女なりに真臣が好きで、彼の望むようにしたいんだろう。
 状況を見て、渡すかどうか判断しようと思っていた。結局、レシピは教えることにした。

「真臣……さん、が気に入っていた料理について、メモしてきました。よかったら、使ってみてください」

 便せんに、簡単なレシピをいくつかまとめておいた。祖母に教わったあと、私なりにアレンジしたオリジナルレシピだ。

「ああ、戸樫さんは肉じゃがにバターをいれるんですね」
「そうそう、ちょっとコクがでるから」

 涙を流して喜ぶ彼女を見て、(真臣ももっと大事にすればいいのに)と、かわいそうになってしまった。

 だが、ふと彼女の足下を見て、一瞬で血の気が引いた。
 今、私が履いている靴と、同じもの……?


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