結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 私が好むブランドの靴だ。銀座に路面店があるし、百貨店などにもあるから決して珍しくはない。でも初めて会ったときに、服装も髪型も似ていると思ってから、ずっと心のどこかに引っかかっていた。

 おそるおそる質問した。
 正直に答えないかもしれない。それでも、聞かずにはいられなかった。

「……武内さん、どうして結婚式前なのに、髪を切ったんですか?」
「真臣くんから、戸樫さんが髪を切ったと聞いたからですよ! また、色々教えてくださいね!」

 無理だ。
 私になりかわって、「真臣の婚約者」という立場を奪ったんだから、もう十分だろう。
 頼られているんじゃない。利用されているんだと、やっと気がついた。

「こ、こうして会っていると、真臣さんのことを思い出してしまうから、これっきりにしてください」
「あっ、そうですよね。戸樫さんの気持ちも考えずにごめんなさい」

 わざと未練があるような言い方をした。単純に、武内さんに会いたくないだけだが、彼女にとって、私と真臣が復縁するのは絶対に嫌なはずだ。嘘でもいいから逃げ出そう。無理。もう二度と、関わりたくない。

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