結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 雑居ビルの二階にある店舗で、出入り口の目の前にはエレベーターがあったが、それを待たず階段を降りようとした。急いで会計を済ませたのか、追いかけてきた真臣に腕を掴まれたので強く振り払った。
 振り払ったことに腹を立てたのか、彼が突然腕を伸ばしてきたと思ったら、服の襟をつかんで私の体を壁にぶつけた。

「痛いっ……離して……!」
「逃がさない」

 誰かに気づいてほしくて、店の扉に腕を伸ばす。でも届かなかった。
 私が逃げようとしたからか、ブラウスを掴んでいる右腕を喉に押しつけてきた。押し返したくても力では敵わない。息ができない。


 だから、横から彼の腕を掴んで引き離してくれた人を神様だと思った。


「失礼、彼女から手を離してください」

 神様は声までいいらしい。いつもと違って威圧感のある低い声だったけど。

 八木沢さんが、私の体を包むように抱き寄せてくれる。

「なんで……」

 咳き込みながら見上げたら、八木沢さんは一瞬だけ私に視線を投げて、すぐに真臣のほうへ向き直っていた。

 これって現実? なんで八木沢さんがここにいるの?


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