結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
「誰だ、お前?」
真臣が戸惑いつつも、八木沢さんを睨みつけている。東京駅で会っているはずだが、覚えていないのだろうか。あのとき、表だって対峙していたのは槙木さんだから、八木沢さんのことは見てなかったのかもしれない。
真臣の態度なんか、まるで意に介していない様子で、八木沢さんが冷静な声で続けた。
「君がやっていることは、暴行です」
邪魔されて、私に逃げられて苛立っているのか、真臣が八木沢さんの胸ぐらを乱暴に掴む。至近距離なので、私は思わず首をすくめて縮こまった。だが、八木沢さんは微動だにしない。
力一杯掴んでいる真臣の腕を、さしたる力も入れず引き剥がす様子は、身長差もあって子供をしつけているかのようだった。
腕をひねったらしい真臣が、オーバーなアクションで「痛い」と叫んでいた。
「……っ、なんだよ、関係ないやつは引っ込んでろよ!」
「か、関係あるよ。この人は私の彼氏だから!!」
「は? ……お前、新しい男ができたのか……? こんなおっさん? それで僕を捨てるのか?」