結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
想像と全然違うのですが
私を後ろから抱きしめている八木沢さんの吐息が聞こえるくらい、部屋は静かだった。
目の前にあるベッドの横に、彼が脱いだ服や靴があるのを見て、私が知りたいと願った空間に踏み込んだのだと実感した。
仮の彼女なのにこんなことして、軽い馬鹿な女だと思われたかな。八木沢さんは今どんな表情をしているんだろう。
両肩を掴まれたので、ためらいがちに振り向くと、上を向かされて口づけられた。彼の動作にはなんの躊躇もなかったので、逃げることも、心の準備すらもできなかった。
触れるだけのキスは一瞬で、すぐに強引に口を開かされる。触れられている首や腰がぞくぞくして震えた。体を引いて逃げても、腰に手を回されてすぐに捕まってしまう。
どうしよう気持ちいい。キスをこんなに気持ちいいと思ったのは初めてだ。私も触れたい。
少し首を傾けて私からも舌を絡めたとき、小さく甘ったるい声が漏れて、それを自分でも淫らだなと思った。腰を引き寄せられて、もっと距離が近づく。薄い布越しに体温を感じて、さらに体が熱くなる。