いつも正しい彼が言うには
 それは新しい女ができたから?
 そういいたい気持ちをぐっと堪えたが、顔の中心がくしゃりと寄った気がした。
 夫の顔は見れず、直ぐに目線を逸らした。

「珍しいこともあるだろ?」

 その声はどこか弾んでいる。
 
「そうね」

 私は素っ気なく返した。

 夫が何を頼んだのかわからないまま、注文を終えた。ぼんやりと目に入ったバラエティを笑うことなく見る。髪が長く若い女の子が大きくリアクションをして、男性芸人がでれでれとした顔でつっこんでいる。

 ……夫の浮気相手もこんなに若いのかしら。

 夫の横をこの女の子が歩いている姿を想像すると、一気に空しさが広がった。お似合いなのだ。私なんかよりずっと。私は夫を思わず見た。肌艶、はりは私よりもある。今の時代に合った中性的な顔立ちは妻の私から見てもかっこいいし、かわいいのだ。女にかわいいと思わせることができる男は最強だ。異論は認めない。その視線に気付き、夫は「なに」と眉を潜めた。
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