いつも正しい彼が言うには
「…相手の夢に出てきたらしいんだ俺」
頭をがっくりと落として、力なく答えた。私の体は強張ったまま、脳裏に浮かんだのは無数の星が瞬く美しい銀河。その中で先程の発言が繰り返し響いた。脳が理解を拒んでドスの利いた「は?」が漏れた。夫はびくり、と身体を縮こませた。
「意味が全く分からないんだけど」
「…相手の夢に出てくるって、そういうことだろ」
「どういうことよ」
「無意識でその人を俺が恋焦がれてるって。み、美和ちゃんだって昔そう言ってたじゃん…」
「それって―――」
平安時代の話ですかね?
夫は怯えながらも至極真面目な顔をしている。妙な沈黙がこの空間を支配していた。生ぬるさと変な緊張感が同居しているような。夫は元々浮世離れしている。学校に行かず、お手伝い兼家庭教師の私だけが他人だったという特殊な環境で育っていた。身体が弱く学校に通えていなかった夫の専属の家庭教師として、確かに古典も教えたことがあった。夫がまともに学校に通ったのも大学生からだ。
頭をがっくりと落として、力なく答えた。私の体は強張ったまま、脳裏に浮かんだのは無数の星が瞬く美しい銀河。その中で先程の発言が繰り返し響いた。脳が理解を拒んでドスの利いた「は?」が漏れた。夫はびくり、と身体を縮こませた。
「意味が全く分からないんだけど」
「…相手の夢に出てくるって、そういうことだろ」
「どういうことよ」
「無意識でその人を俺が恋焦がれてるって。み、美和ちゃんだって昔そう言ってたじゃん…」
「それって―――」
平安時代の話ですかね?
夫は怯えながらも至極真面目な顔をしている。妙な沈黙がこの空間を支配していた。生ぬるさと変な緊張感が同居しているような。夫は元々浮世離れしている。学校に行かず、お手伝い兼家庭教師の私だけが他人だったという特殊な環境で育っていた。身体が弱く学校に通えていなかった夫の専属の家庭教師として、確かに古典も教えたことがあった。夫がまともに学校に通ったのも大学生からだ。