失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした

「なら、それももらう」

「えーっ、ズルい。私だってほしいもん。神林くんの描いたうちわ、味があって見てるうちにじわじわくるよ」

「『じわじわ』って……」

「ほら、ゴッホの絵だって評価されるのに時間かかったんだし」

「だから、ひまわりじゃないって!」

 神林くんはとうとう噴き出した。

 そして観念して、私にうちわをくれた。

 私もつられて笑ってしまった。

 楽しくたって仕方ないじゃない、と思った。

 失恋の悲しさが噴き飛ばされてしまったんだから。

 神林くんのひまわりみたいな花火には、それだけの爆発力があったのだ。


「宮下さんのは、美術選択らしいうちわだなー」

 神林くんは、私のうちわを正面に持って鑑賞した。

 自分からうちわ交換を言い出したくせに、いざ目の前でじっくり見られるのは気恥ずかしい。

「見すぎ。もういいってば」

 私は神林くんからもらったうちわで、火照る顔をパタパタと仰いだ。

「これからどうしようか? もう1回フードコートに戻って、祭りっぽくカキ氷でも食べる?」

 少し考えてから答えた。

「それもいいけど、私行きたい場所があるの!」

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