失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした
絵を描き終えたあとで、ゆっくり『あ』、『り』と文字を書いていく。
次は『が』だ。
あれ?
不意に疑問が頭をもたげた。
だけど、いいのかな?
振られたその日にこんなに楽しくて……
『と』に移ると、さらにもやもやしてきた。
夏川くんのこと、本気で好きだったんじゃないの?
それなのに、こんなに早く立ち直れるもの?
これだと……
『う』を書き終えても、私は筆を持ったままで考えていた──
「……一応できたけど」
「えっ、あっ、本当? 私もできてるよ」
神林くんの終了宣言で、我に返った。
急いで筆を置いた。
「じゃあ、『せーの』で見せ合いっこしようよ。いくよ……せーの!」
私は神林くんのうちわをまじまじと見た。
「……ええっと、ひまわり?」
「打ち上げ花火」
「ああ、花火ね……花火?」
「いいよ、無理に交換しなくても。これは自分で持って帰るから」
「ダメ! 私のは神林くんにもらってもらいたいもん」
そのためのうちわなんだから。