失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした

 絵を描き終えたあとで、ゆっくり『あ』、『り』と文字を書いていく。

 次は『が』だ。

 あれ? 

 不意に疑問が頭をもたげた。

 だけど、いいのかな?

 振られたその日にこんなに楽しくて……

 『と』に移ると、さらにもやもやしてきた。

 夏川くんのこと、本気で好きだったんじゃないの?

 それなのに、こんなに早く立ち直れるもの?

 これだと……

 『う』を書き終えても、私は筆を持ったままで考えていた──


「……一応できたけど」

「えっ、あっ、本当? 私もできてるよ」

 神林くんの終了宣言で、我に返った。

 急いで筆を置いた。

「じゃあ、『せーの』で見せ合いっこしようよ。いくよ……せーの!」

 私は神林くんのうちわをまじまじと見た。

「……ええっと、ひまわり?」

「打ち上げ花火」

「ああ、花火ね……花火?」

「いいよ、無理に交換しなくても。これは自分で持って帰るから」

「ダメ! 私のは神林くんにもらってもらいたいもん」

 そのためのうちわなんだから。
< 15 / 19 >

この作品をシェア

pagetop