失恋から立ち直るのに必要なのは爆発力でした

 だけど……

 こっちこそが、まやかしなのかもしれない。

 吊り橋効果?

 それでもいいじゃない。

 私と同じように怖がっていて、全然頼りにならない神林くん。

 今この瞬間に、一緒に怖がって叫んでくれることが、堪らなくうれしかった。


 ふたりで『キャーキャー』叫んで、出口にたどり着いた。

 廃寺から明るいモールに逃げ出せて、ほっとした。

「うわー、怖かった!」

「私もここまでとは思ってなかった」

「何が『漢らしく』だ。自分で言ってて恥ずかしくなる!」

「だけど、爆発力はあったよ?」

「えっ?」

「ねっ、カキ氷食べに行こうよ! 叫びすぎて、のど渇いちゃった」

「いいけど、その前にさっきのってどういう意味? まさかね……俺カッコ悪かったもんな……いや! だって『爆発力』って言ったよね?」

「それを答えるのは、ここじゃない気がする。まずはカキ氷にしよう!」

 楽しみな夏休みは始まったばかりだ。

 まだつないだままの手を軽く引っ張って、私は歩き出した。


END
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