今日からキミと 幼馴染以上。
最後の糸
純白のドレスに身を包み、色とりどりのブーケを抱えて。


バージンロードの先には愛しい元幼馴染が私を待っている。


あの頃、こんな未来があるなんて想像してなかったな。


「結婚しよう」


お互いの気持ちを確かめあったあと、告げられたのは彰久からのプロポーズだった。


「ちょっと待って!私たちつい今さっき恋人になったばっかりだよね!?」


「期間なんて関係ない。ずっと紗季を手に入れたくてやっとその権利を得たんだ。今度は永遠に幸せにする」


そう言って、恋人期間わずか30分足らずで私たちは婚約し晴れてこの日を迎えた。


「綺麗だ」


ドレス姿の私に彰久は今まで見た中で一番の笑顔を見せる。


「彰久も。かっこいいよ」


たくさんの人から祝福され見守られながら近いのキスを交わす。


いつからかすれ違った幼馴染であるあなたとは生まれたときから運命の赤い糸で結ばれていたのかもしれない。


「かわいい〜この赤ちゃん、ママ?」


柔らかな木漏れ日が差し込むリビングでアルバムに釘付けの愛娘。


「懐かしいな。この赤ちゃんがママでこっちの赤ちゃんがパパだよ」


写真の中の赤ん坊はスヤスヤと寝ながら、しっかりとお互いの手を握りしめている。


「パパとママ、赤ちゃんのときから仲良しなの?」


「そう。ママとパパは幼馴染だったからね」


一度は離れてしまったけれど、こうやって家族になれた。


「ママとパパ、ラブラブ〜」


「パパはママが大好きだからね。もちろん、糸のことも大好きだよ」


生まれてきた娘に「糸」と名付けたのは彰久だった。


「この子は最後の俺と紗季の絆を結んでくれた、糸。どう?」


「最後の?」


「幼馴染から幼馴染未満になってまた幼馴染に戻って。それから恋人。最後の関係は『夫婦』」


2度と切れることのない糸を、この子が紡いでくれた。


「ママもパパと糸が大好きよ」


幼馴染以上の最後で最高の関係。


これからも、ずっと。
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