東雲くんは【平凡】がわからない!
◇◆◇
次の日。
登校途中でまた光井さんに会ったわたしは、昨日のように一緒に学校へ向かった。

「光井さん、昨日は校内案内本当にありがとう」

「ううん、私は別に。何だか美術部の勧誘みたいになっちゃってごめんね」

「全然だよ。楽しかった」

「本当?良かった!私も、若葉さんや東雲くんといっぱい話せて楽しかった。
……東雲くんとあんなに話したの初めてだったな」

「そ、そっか」

それはやっぱり東雲くんがクラスで浮いているからではないかと思ったが、どうやら違うらしい。

「うん、私…男子と話すの苦手で……。というか、そもそも人と話すのがあまり得意じゃないんだけどね」

「え!そうなの?光井さん、すごく話しやすいのに」

「それは相手が若葉さんだからだよ、きっと。私も若葉さん、すごく話やすいと思うもの」

「光井さん……」

それって光井さんとわたしの気が合うってことかな。だったら嬉しいな。昨日も感じたけれど、光井さんとはいい友達になれそうな気がする。



…そんなことがあり。
少し浮かれた気分で教室に入ったわたしのところに柳さんがやってきた。
昨日、少し怒らせてしまったような覚えがあるので身構えてしまう。
東雲くんのこととかで何か言われるのかな。

「お、おはよう、柳さん」

「おはよう、若葉さん!ヤバイよ、最悪だよ」

「え、な、なにが?」

やっぱり東雲くん?
昨日、仲良くなったことがもう知られた?
とビクッとしたが、柳さんは予想外の言葉を続けた。
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