完璧男子蒼くんとの秘密のレッスン【マンガシナリオ】
5
〇結菜の部屋・夜

結菜モノローグ『蒼くんから交換日記が戻ってきたのは、数日後だった。日記には「正直でよろしい」「でも結菜は大事なことに気づいてないよ」「これから教えてあげる」と書かれていた』『その言葉にモヤモヤしたけれど、その後の他愛もないやり取りで、モヤモヤを忘れていった』

結菜(蒼くん、カレーライスは中辛が好きなんだ。家は甘口だから、今度お母さんに言っておこうかな)(あっ! 蒼くんもこの小説読んだことあるんだー! うんうん、面白いよね!)

日記を読みながら蒼の好きな物を知る結菜。

結菜モノローグ『交換日記を書く。蒼くんに渡す。蒼くんから日記を受け取る』『そんな日々がしばらく続いていた』


〇学校・教室・昼休み

結菜モノローグ『五月、新しいクラスにも慣れてきた頃――』『私はクラスで話せる人が少しずつ増えていた』

体育の時に自ら話しかけた三人組(高橋、南川、田村真理)と一緒に弁当を食べる結菜。
おかずの交換をしたり、楽しそうに過ごす。

結菜モノローグ『この三人についても色々なことを知った。三人とも弓道部で、去年も同じクラスだったとか』『真理はお淑やかな雰囲気なのに、勝負事にはすぐ熱くなるとか』

結菜が三人を見つめる。

真理「そういえば、もうすぐ中間テストだね。私、化学がヤバいかも……」
高橋「数Ⅱも範囲広いし……」
南川「私は毎回英語と古文が赤点スレスレなんだよね」

げんなりとした顔をする三人。

結菜(そっか……そろそろ中間テストか。勉強しなきゃな)

結菜は三人の話を聞きながらもぐもぐと弁当を食べ進める。
真理が結菜の方を見る。

真理「結菜は? 部活やってないし、勉強いっぱいしてそうだし、楽勝なんじゃない?」
結菜「え……いやぁ、勉強は全然苦手で。結構時間かけてるのに、ギリギリ平均って感じだよ」

情けない顔でガックリと肩を落とす結菜。よしよしと高橋が頭を撫ででくれる。他の二人も励ますような笑みを浮かべる。

真理「そういえば綾川くんって、イギリスでは成績優秀だったらしいよ」
高橋「そうなんだ。確かに、勉強出来そうな雰囲気あるもんね」
南川「帰国子女だもんねー。英語出来るの羨ましいよ……脳みそ交換したい!」

「本当にね!」と笑い合う三人。曖昧に笑いながらも焦る結菜。

結菜(蒼くんって勉強も出来るの!? 知らなかった……)(私、蒼くんのこと何も知らないんだ)(嫌だな……もっと、蒼くんのことを知りたいな)


〇蒼の部屋・夜

蒼の部屋の前で深呼吸する結菜。

結菜「よしっ、いくぞ!……でも……」「何て言ったら良いんだろう?」「蒼くんのこと、もっと知り……」

扉の前でブツブツと呟いていると。扉が開いて蒼が顔を出す。

蒼「何やってるの? 用があるなら入ってきなよ」

驚く結菜。

結菜「あ、蒼くん!? 今の聞いてた?」
蒼「何を? ほら入りなー」

蒼が結菜の肩を抱いて部屋へと案内する。
シンプルな部屋だが、棚には本がギッシリ詰まっている。
ローテーブルをはさんで向かい合って座る二人。

蒼「それでどうしたの? レッスンを受けに来たの?」

艶やかに笑う蒼。
意を決したような表情をする結菜。

結菜「あのねっ……教えてほしくて! あの……あ、の」「勉強を……」

蒼のことを知りたいと言えずに、空気が抜けるように縮こまる結菜。
不思議そうな表情の蒼。

蒼「俺に?」
結菜「あのね、皆が蒼くんは成績優秀だったって言ってたから……。だ、駄目かな?」

誤魔化すように言葉を繋げる結菜。
蒼は優しく微笑む。

蒼「駄目じゃない。もちろんいいよ。何の教科がいい?」
結菜「えっと……数学とか?」

教科書とノートをローテーブルに広げる。
結菜の隣に座り直す蒼。

蒼「中間の範囲だったら、この辺りかな?」
結菜「あ……この円の方程式が苦手で」
蒼「これはね――」

真面目に教える蒼と真剣な眼差しの結菜。

結菜「解けた……! 全然分からなかったのに」「ありがとう蒼くん!」

結菜は満面の笑みを浮かべる。
蒼は照れくさそうに笑う。

蒼「どういたしまして」
結菜「蒼くんって教えるの上手だね! 人付き合いも勉強も教えてもらえて、私は幸せだなあ」

しみじみと感動する結菜。
その発言にハッとしたような顔をする蒼。真剣な顔になる。

蒼「本当に幸せ?」
結菜「え、うん! だって蒼くんがいなかったら、友達も出来なかったし、この問題だって解けなかったもん」

蒼の変化に気づかず嬉しそうに答える結菜。

蒼「ねえ、昔もそう言ってくれたことあるの覚えてる?」
結菜「え?」

結菜(昔……? うーん、そんなことあったっけ?)

考えを巡らせる結菜。だが思い出すことは出来ない。
蒼は懐かしそうに微笑む。

蒼「僕が花かんむりの作り方を教えてあげたんだよ。そしたら結菜が『教えてもらえて幸せー!』って。可愛かったな」
結菜「かわっ……!?」

赤面する結菜。
蒼は赤くなった結菜の頬をツンとつつく。

蒼「そういうところ変わってないね。……安心する」

目を細めて楽しそうに言う蒼。
恥ずかしくて目をそらす結菜。

結菜「き、記憶力が良いんだね」
蒼「他にも色々覚えてるよ。結構大事な約束もしたんだけどな~」
結菜「え!? それは、どんな……?」

意味ありげな蒼の発言に食いつく結菜。
パッと蒼の方を向いた結菜。蒼が結菜の両頬を優しく包む。

蒼「約束、忘れちゃった?」

優しく問う結菜。綺麗な瞳に見つめられて動けない結菜。
否定も肯定もしない結菜を見て、ふっと笑う蒼。

蒼「ふふっ、まあいいよ」「結菜が俺のことを好きになってくれれば、ね?」

首をこてんと傾ける蒼。
そのあざとさマックスの顔面を見て倒れ込む結菜。デフォルメ絵。

結菜(冗談だって分かってるのに……心臓がドキドキする)

結菜モノローグ『ねぇ蒼くん。この時どんな気持ちだったのかな?』『私は人も気持ちにも他人の気持ちにも鈍感だったね――』
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