繋いだ手は離さない
 ボクはその様子を見つめながら、自分もケータイを取り出して、フリップを開く。


 いるのは山間部だが、圏外にはなっていなかった。


 何せ田舎町にある、登ろうと思えば簡単に登れる山の公園だ。


 そう高くはなく、返って低いぐらいだった。


 だが、その低い場所からでも見下ろす景色はとても美しい。


 ボクも愛理香も各々ケータイを使って、写真を撮るなり、メールを打つなりしていた。


 ボクも彼女と別アングルから写真を撮り終えて、アドレス帳に登録してある友人のアドレス宛にメールを打っていた。


 カツカツカツという音がして、メール本文を一通り打ち終え、ボクは撮っていた写真を添付して、誤字や脱字などがないかどうか確認し、送信ボタンを一度押す。


 <メールが送信されました>というメッセージが出て、安心したボクはパタンとフリップを閉じた。


 そして軽く息をつく。


 愛理香の方も撮った写真を保存して、フリップを閉じたようだった。


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