《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
 しかしレオヴァルトはこれほどの美貌を備えておきながら、軒並み寄ってくる女性陣には超がつくほど塩対応なのは周知の事実。
 男色ではないのかと疑われるほど浮いた噂がなかったと自他ともに認めるレオヴァルトの唇から、まさかこんな言葉が飛び出すとは。

 ──でも、待って。もしやレオは《女性を知らない》とか? 知らないからこそ《《知りたい》》とか、そう言うことなのでは……?!

 独身だった頃なら幾らでも経験を積めただろうが、今となってはユフィリアの夫だ。「あなたを抱く事はない」と宣言していても、妻に触れるのを望むことくらい許されるべきではなかろうか。
 それに女性の身体に興味を示すのは、至って健全な成人男性の反応だろう。寧ろ今まで無かったのがおかしいくらいだ。

 ユフィリアがうんちくを想像する間も、レオヴァルトの視線は熱を帯びる一方。ユフィリアからの返答を期待しているのがわかる。
 かくなるうえは、と決意を固めた。

「触ってみても……いいよ。レオだから許すっ。その代わり……」

 言葉の続きを待つレオヴァルトが真面目な顔で軽く首を傾げている。
 
「その代わり?」
「わっ、私以外の女性には何があっても絶対にふれないって……約束、してくれるなら……」

 こんな事は王族の彼に対して無理な願いだとわかっている。
 レオヴァルトは第二王子としての王位継承権を自ら放棄しようとしていて、「子は要らない」と宣言していても、ユフィリア以外の女を抱かないなど約束できるはずが無い……そう思えば、思いつきで無理な条件を出してしまったものだと恥ずかしくなる。
 そんなユフィリアの心の葛藤を知らず、レオヴァルトの頬が、ふ、と緩んだ。

「そんな簡単な事でいいのなら。問題は無しだ」
「……ぇ……?」

 言えば、唐突に手首を掴んでいた腕をぐいと頭上に持ち上げられる。両手首とともに身体が寝台に貼り付けられた。




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