《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「……私も、望んでいるよ? あなたと同じことを望んでる。私だって力がもっと欲しい。治癒力《グラシア》を強大化させたい。だから……レオと《交わる》こと、嫌じゃない。レオと交わって、この力を強大化、させたい」

 ──そう思えたのは、レオと、だから……!

 熱の籠った瞳を潤ませたまま、蜂蜜色の宝石の瞳をじっと見つめ返す。
 聖女が持つ神聖力《グラシア》は、夫婦となった異性との《交わり》によってその力が強大化することが知られていた。
 レオヴァルトとて、初めからそれを望んだって良かったのだ。子を成すことを目的としなくとも、ユフィリアを抱く理由は幾らでもあったはずだ。
 けれどそれは互いに望まぬ婚姻関係を結び、嫌がる相手を強引に組み敷く事を嫌悪する、彼なりの優しさだったに違いない。
 
「……本当に、いいのか?」

 薔薇色に頬を染め、ユフィリアがこくんと頷く。
 途端、堪えていたものを解放させたように、レオヴァルトが熱い吐息を喉元から搾り出す。

 ──心臓から手が伸びそうなほど、今、あなたを欲している。
 
 レオヴァルトが同じ気持ちだといい、心からそう思った。
 少なくともユフィリアはそうだった。

「……すまない」
 
 壊れ物を扱うように触れた手が頬を撫で、ユフィリアの顔をそっと持ち上げた。
 こんなふうにレオヴァルトが見つめるのは、恐らくこの広い世界で自分だけだ……そう思うと、痺れるような幸福感が押し寄せて身体が震える。

「ねぇ、謝らないで?」

 ──私は、嬉しいの。





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