《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
 吐息を感じる距離になって、幸せな気持ちのままゆっくりと瞼を閉じた。

「ふ……」

 唇が柔らかいもので塞がれた。途端、全身に甘い痺れが駆け抜ける。
 ちゅ、ちゅ、と何度か表面を啄まれたあと、何か生ぬるいものが唇を這い、口腔内に侵入してきた。
 口内を探る柔らかいものは徐々に湿度を増していく。ただ唇を重ねているだけだというのに背中が痺れたようになる──深い口付けとは、これほど甘くとろけるものなのか。

 ──レ……オ……!

 レオヴァルトの舌が歯列や頬の内側を丁寧になぞり、今度は舌に絡みついて吸い上げられる。

「んぅ……!」

 不慣れな息苦しさに薄く目を開けてしまう。視界にあるのは、静かに閉じられた翼の睫毛だ。
 舌先を貪られながらそのまま組み敷かれ、マットレスに沈み込みながらレオヴァルトの硬く大きな手のひらが柔い胸の膨らみを翻弄する。

 濃厚な口付けによってスイッチが入ってしまったのか、その欲情は先ほどのやんわりとした触れかたに留まらない。
 片方の胸の敏感な部分に触れられ、身体にビリリと強い刺激が走る。思わず喉を反らし、小さく悲鳴をあげる。互いの唇が銀の糸を引きながら離れた。

「ぁ……っ」
「すまない、痛かったか?」

 形良い唇が優しい愛を囁く。もうすっかり熱を帯びた吐息が耳朶にかかり、肩がふるえた。

「痛くは、ないけど……っ、レオに触られるの、恥ずかしくて……」
「そうか。ふっ、私のユフィリアは可愛いな」

 寝衣の上からさするように胸に触れていた手のひらが動いて、邪魔だとばかりに腰元の帯を解き、頬から顎、首筋へと唇と滑らせながら寝衣を剥がしていく。

「滑らかで綺麗な肌だ」
「恥ずかしいの……っ、そんなふうに、見ないで……?!」

 肩から寝衣をはだけさせると、乳白色の素肌が胸元まで露になった。
 張りのある胸がふるんと揺れ、雄の欲情を掻き立てる。けれどレオヴァルトの愛撫にいちいち身体をしならせる愛らしい妻は、何せ《《初めて》》なのだ。





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