《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
他の馬たちよりもひときわ身体の大きな黒馬の歩みを妨げぬよう、下っ端の騎士たちが左右に道を開ける。
黒馬の背に揺られたレオヴァルトは、ゆったりと馬の足を止めると頭部を覆っていた兜を外して「はっ」と息を吐いた。
「ユフィリアは? 私の妃はどこだ」
現れたのは、一振りの美しい刃《やいば》を連想させる鋭利さを備えた端正な面差しだ。
滑らかな肌に切れ長の黄金の瞳、すっと通った高い鼻梁、薄い唇。背まで伸ばした黒灰色の髪をざっくりと首の後ろで纏めている。
屈強な青年騎士であるのに余りある色気を漂わせているのは、無造作に靡く後れ毛の所為だろうか。
「オオオオ……!」
アルハンメル軍の騎士たちが剣を振り翳しながら勝利の雄叫びを上げる──……が。
「レオヴァルト殿下、奥方様が」
「何だと……?」
突然に後方から降ってきた叫び声に、大きく見開かれたレオヴァルトの琥珀色の怜悧な視線が振り返る。
間髪を入れずに手綱が引かれ、彼を乗せた黒馬が嘶きとともに鬣《たてがみ》を黒々と靡かせ、血に染まった大地を蹴って駈け出した。
黒馬の背に揺られたレオヴァルトは、ゆったりと馬の足を止めると頭部を覆っていた兜を外して「はっ」と息を吐いた。
「ユフィリアは? 私の妃はどこだ」
現れたのは、一振りの美しい刃《やいば》を連想させる鋭利さを備えた端正な面差しだ。
滑らかな肌に切れ長の黄金の瞳、すっと通った高い鼻梁、薄い唇。背まで伸ばした黒灰色の髪をざっくりと首の後ろで纏めている。
屈強な青年騎士であるのに余りある色気を漂わせているのは、無造作に靡く後れ毛の所為だろうか。
「オオオオ……!」
アルハンメル軍の騎士たちが剣を振り翳しながら勝利の雄叫びを上げる──……が。
「レオヴァルト殿下、奥方様が」
「何だと……?」
突然に後方から降ってきた叫び声に、大きく見開かれたレオヴァルトの琥珀色の怜悧な視線が振り返る。
間髪を入れずに手綱が引かれ、彼を乗せた黒馬が嘶きとともに鬣《たてがみ》を黒々と靡かせ、血に染まった大地を蹴って駈け出した。