《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
『あなたを《《夫にしてあげる》》と言っているのです。』
間近で聞くよりは不鮮明であったが、イザベラは確かにそう言った。
柱の影に隠れて様子を伺っていたユフィリアの背中が薄ら寒くなる──かつて信頼を寄せていたルグランが、いとも簡単にイザベラに寝返ったのを想起したからだ。
そもそも、レオヴァルトとの婚約はレイモンド卿が仕組んだもの。卿の姪であるイザベラが頼み込めば、イザベラとレオヴァルトの婚約が認められるかも知れない。
──もしもレオが、私との契約破棄を、望めば。
レオヴァルトとは結婚の契約を結んでいる。一度交わした契約は簡単には破れない。
破ろうとすれば『どちらかが死ぬ』。
それでも双方が納得したうえでならまだ納得もいく。けれども。
── 一方的に裏切られるのは、もういやだ……!