《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!

 ファラエル神の彫像前に組まれた巨大な祭壇には、穢れなき心を誓う純白のマランの花がふんだんに飾られている。
 その中の一本を手に取った大司教様が、膝まづいたユフィリアとレオヴァルトの頭上に翳した。

「我、ルグリエット・ミラ・ファラエルは、聖《セント》ファラエル神の名において、ここに黒騎士レオヴァルト・ヴァルドフと聖女ユフィリア・ダルテの結婚を認めるものとする」

 中央大聖堂の荘厳な鐘の音が、聖都中に響き渡る。
 抜けるような青空が広がる快晴の日の朝。
 契約上の結婚とはいえ、ユフィリアはレオヴァルトの正式な妻になった。

 退場のとき、手袋の指先が大きな手の中に包まれた。
 突然だったけれど、レオヴァルトに手を繋がれた事に不思議と嫌悪感は感じなかった。

 無能のクズだと罵られた聖女ユフィリアも、黒騎士レオヴァルトとの交わりによって聖なる力の加護グラシアを強大化させ、今後はまともな聖女としてこの中央大聖堂に貢献するだろう……そんな期待が神官たちの安堵の表情から読み取れる。

 祝福モードな拍手のなか──聖堂の片隅で、煮えたぎる怒りにアメジストの眼《め》を光らせる筆頭聖女イザベラの存在には、誰一人として気づかないのだった。





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