《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
下級聖女ユフィリア
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目を覚ませば、首筋がぐっしょりと濡れていた。
夜着の背中もじわりとしけっていて、よほど寝汗をかいたのだとわかる。
——またあの《夢》を見た。
幼い頃から何度か見ている《夢》で、内容はそれぞれ違っている。
最初は《予知夢》だと思った。
しかしある時、気づいてしまう。どういう訳だかユフィリアは《やり直しの人生》を歩んでいる──しかも二度目の。
──きっとあのいけすかない黒騎士に会ったせいだっ。
そこに関連性があるとは思えないが、今はなんでもいいから理由づけがしたかった。
レオヴァルト、と名乗った男につかまれた手首が呪いにでもかかったように赤黒く変色している。
──あの黒騎士……むかつく……今度会ったら倍返しだ!
《夢》を最初に見たのは十歳の時で、ユフィリアが聖女として身を置くこの中央大聖堂に連れて来られる、まさに前夜であった。