《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
嫁いだ国の名も、夫の名すらわからない。けれど夫はかの国の第二王子であって、ユフィリアを庇って命を落とした事だけが明確だった。
それなのに絶命した夫が最後に遺した、『愛している』。
夢の中で自分が『愛してる』と心で感じた時の、心と身体を同時に裂かれるような痛み。
あれが単なるぼやけた夢であるはずがないと、目覚めた時に初めて気が付いた。
夢の先に必ずあるもの、それは、《死》だ。
今まで見てきた《《あれ》》は予知夢なんかじゃない。
神がかった何らかの大きな力が働いていて、過去を生きていた自分が見た光景を、夢という形で見せられていたのだ……と。
最初に死んだのは、神官の迎えを嫌がって村を出なかったとき。
二度目はおそらく第二王子が自分を庇って命を落としたすぐ後だろう。
なのでユフィリアは現在、二度目の人生を生き直している、ということになる。
「……痛ッ……」
水を一杯飲もうとベッドから立ちあがったとき、昨夜、鞭で打たれた背中の傷が治りきらずにどくどくと痛んだ。
親友の聖女グレースが癒してくれたものの、傷があまりにも深く、下級聖女のグレースの力では完治しなかったようだ。
「《《あのひと》》を死なせたくない。だから私は、これまで必死で……っ」